牛虎銅案

新石器時代(河姆渡文化)、1977年浙江省余姚河姆渡文化遺跡出、陶器、高さ11.7cm、口径21.7cm、底径17.5cm、浙江省博物館所蔵[1]
牛虎銅案は、1972年に中国雲南省玉渓市江川県李家山古墓群古墓群第24号墓(中国の戦国時代から西漢(前漢)時代にかけての墓葬群。)から出土した青銅製の工芸品である。これは古代の祭祀の際に牛や羊などの供物を載せるために使われた。全体の高さは43cm、長さ76cm、重さ17kgである[2]。全体像は立ち上がる一頭の大きな牛像で、その腹部は中空で、中に一頭の小さな牛が立っている。大牛の後部には猛虎が牛の尾に噛みつき、四肢で大牛の後胯を掴んでいる[3]。大牛と虎は一体で成型されたが、小さな牛は別々に鋳造され、その後溶接された。現在は雲南省博物館に収蔵されており、同博物館の最も貴重な所蔵品の一つとなっている[4]
紀元前約300年から同280年の間、楚国の将軍、荘蹻(ソウ・キョウ)は、軍を率いて雲南に向かった。当時の雲南は、風光明媚だが文化はまだ立ち遅れていた。荘は、現在の昆明の近くにある滇池地区に到達したが、当時はこのあたりに数十の部族が分布しており、すでに青銅器文化の時代に入っていた。「滇(テン)」はその中で最大の部族であった。紀元前287年、秦国は司馬錯を派遣して楚国の黔中郡を奪取し、荘蹻が楚に帰る道を切断した。このため荘は部下とともに雲南に留まらざるを得なくなり、土着の住民とともに開発と生産に従事し、滇王国を建てた[5]。
私的考察
[編集]下図は河姆渡文化の「猪紋黒陶鉢」である。豚の体の中に「目」がある。
牛虎銅案と「猪紋黒陶鉢」は関連が深いと考える。河姆渡文化の豚は「犠牲獣」でもある。「猪紋黒陶鉢」の豚は「月の神」であり、世界樹でもある存在と思われるが彼の体内には「何者かの目」がある。これはこの神の上位にくる神で、親神の「2人の雄鶏雷神」の図と考える。親が「月の神」の中にいて、神の機能を調整している、といえる。一方、時代が下り大渓文化あたりになると、犠牲獣として「牛」が挙げられるようになる。
牛虎銅案では「牛の体内」に「小さな牛」がいる。それはさておき、大きな牛を「犠牲獣」と考えれば、これも「月の神」といえる。この牛は河姆渡文化の図の「豚」を「牛」に置き換えただけで、神話や祭祀的に意味することは「同じ」なのではないだろうか。要するにこの牛の体内にいるのも「親の神」と考える。牛の体内に葉「親牛の魂」が宿って、牛の機能を調整しているのだろう。中国神話で「殺される牛型の神」として有名なのは蚩尤である。そして、その蚩尤は炎帝の後衛といわれ、いわば炎帝の子神といえる。炎帝もまた牛型で現される。要するに、この2頭の牛は、大きなものが蚩尤であって、小さなものはその体内に存在する「炎帝の魂」なのではないだろうか。そして、両者は一体のものでもあるのだ。
ナシ族の伝承に以下のものがある。
女神が一頭の野牛を殺し、その頭を天に、その皮を地に、肺を太陽に、肝臓を月に、腸を道に、骨を石に、肉を土に、血を水に、肋骨を岩に、尾を樹に、毛を草に変えた[6]。
雲南省の少数民族には「虎トーテム」の部族もいると考える。その場合には、「女神」=「虎」ともなり得るだろう。牛虎銅案は、虎女神が野牛を殺す場面を再現したものともいえよう。中国神話で「牛」で現され、かつ殺される神でもあるのは蚩尤であり、それを殺すのは「魃(バツ)」という女神である。
参考文献
[編集]- Wikipedia:牛虎銅案(最終閲覧日:26-01-24)
外部リンク
[編集]- 解读牛虎铜案 (http://news.sohu.com/20060718/n244305489.shtml, 20190605144935)
関連項目
[編集]- うし
参照
[編集]- ↑ 猪紋黒陶鉢、考古用語辞典、07-07-09
- ↑ zh-cn, 玉溪新聞网, 牛虎銅案, http://www.yxdaily.com/yxnews/styx/yxgg/2006_12_22/125743.shtml, 2006-12-22, 2011-10-25, https://web.archive.org/web/20081202004911/http://www.yxdaily.com/yxnews/styx/yxgg/2006_12_22/125743.shtml, 2008-12-02
- ↑ zh-cn, 人民网, 滇文化的佳作——牛虎銅案(博物一覧), http://www.people.com.cn/GB/paper39/8232/776319.html | date = 2003-03-13 | accessdate = 2011-10-25 | archive-date = 2019-06-08 | archive-url = https://web.archive.org/web/20190608064837/http://www.people.com.cn/GB/paper39/8232/776319.html
- ↑ http://www.ynbwg.cn/diancang/?id=156112904&categoryid=87, 雲南省博物館, 2011-10-25, https://web.archive.org/web/20111026034028/http://www.ynbwg.cn/diancang/?id=156112904&categoryid=87, 2011-10-26
- ↑ 考古用語辞典:牛虎銅案(最終閲覧日:26-01-24)
- ↑ 牛(1) 創世神牛、神話伝説その他(最終閲覧日:26-01-25)