「湖の貴婦人」の版間の差分
| (同じ利用者による、間の6版が非表示) | |||
| 15行目: | 15行目: | ||
ギリシャ神話の海のニンフ・テティスは英雄アキレウスの母で、同様に息子に魔法の武器を与えている<ref>Graham Anderson, March 1, 2004, King Arthur in Antiquity, Routledge, isbn:1134372019, https://books.google.com/books?id=c45_AgAAQBAJ&pg=PT206</ref>。湖の乙女のように、テティスは当時最も優れた戦士を育てた水の精霊である。テティスの夫はペレウスという名で、いくつかの物語では湖の乙女は騎士ペレアスを愛人としている。テティスもまた、ランスロットが邪悪な魔法から身を守る指輪を受け取るのと同様に、息子を無敵にするために魔法を使用する<ref>https://books.google.com/books?id=WLQ4AQAAMAAJ&pg=RA1-PA643, The Encyclopædia Britannica: A Dictionary of Arts, Sciences and General Literature, 1893</ref> 。そのため、ギリシャ神話はアーサー王伝説にインスピレーションや影響を与えた可能性がある。特に、テティスが登場する『イリアス』は旧ローマ帝国全土やケルトの神話や伝承を扱う中世の作家の間でよく知られていた。ローマ時代のアバラヴァの砦は、ローマ帝国滅亡後のブリトン人にはアヴァラナとして知られ、今日では歴史上のアヴァロンの所在地と考える者もいるが、奇妙なことにローマの水の女神デア・ラティスにも捧げられていた<ref>https://books.google.com/books?id=nBWeBAAAQBAJ&pg=PT108, A Brief History of King Arthur, Mike Ashley, 7 February 2013, Little, Brown Book Group, isbn:9781472107657</ref>。ローレンス・ガードナーは、中世の著述家がランスロットの血統を聖書的起源にした、と解釈した。その解釈では、イエスの妻とされるマグダラのマリアがガリア(今日のフランス)で晩年を過ごし、アクエ・セクスティアイで亡くなったという信仰に注目した。ガードナーは、マグダラのマリアの子孫を6世紀のアヴァロン伯爵夫人ヴィヴィアン・デル・アックス(「水の」)と特定し、彼女の3人の娘(ランスロット、アーサー、ゴーウェインの母親と関連付けられる)は「湖の貴婦人」として知られるようになった、としている<ref>Mike Ashley, September 1, 2011, The Mammoth Book of King Arthur, Little, Brown Book Group, isbn:9781780333557, https://books.google.com/books?id=Y0yeBAAAQBAJ&pg=PT360</ref>。 | ギリシャ神話の海のニンフ・テティスは英雄アキレウスの母で、同様に息子に魔法の武器を与えている<ref>Graham Anderson, March 1, 2004, King Arthur in Antiquity, Routledge, isbn:1134372019, https://books.google.com/books?id=c45_AgAAQBAJ&pg=PT206</ref>。湖の乙女のように、テティスは当時最も優れた戦士を育てた水の精霊である。テティスの夫はペレウスという名で、いくつかの物語では湖の乙女は騎士ペレアスを愛人としている。テティスもまた、ランスロットが邪悪な魔法から身を守る指輪を受け取るのと同様に、息子を無敵にするために魔法を使用する<ref>https://books.google.com/books?id=WLQ4AQAAMAAJ&pg=RA1-PA643, The Encyclopædia Britannica: A Dictionary of Arts, Sciences and General Literature, 1893</ref> 。そのため、ギリシャ神話はアーサー王伝説にインスピレーションや影響を与えた可能性がある。特に、テティスが登場する『イリアス』は旧ローマ帝国全土やケルトの神話や伝承を扱う中世の作家の間でよく知られていた。ローマ時代のアバラヴァの砦は、ローマ帝国滅亡後のブリトン人にはアヴァラナとして知られ、今日では歴史上のアヴァロンの所在地と考える者もいるが、奇妙なことにローマの水の女神デア・ラティスにも捧げられていた<ref>https://books.google.com/books?id=nBWeBAAAQBAJ&pg=PT108, A Brief History of King Arthur, Mike Ashley, 7 February 2013, Little, Brown Book Group, isbn:9781472107657</ref>。ローレンス・ガードナーは、中世の著述家がランスロットの血統を聖書的起源にした、と解釈した。その解釈では、イエスの妻とされるマグダラのマリアがガリア(今日のフランス)で晩年を過ごし、アクエ・セクスティアイで亡くなったという信仰に注目した。ガードナーは、マグダラのマリアの子孫を6世紀のアヴァロン伯爵夫人ヴィヴィアン・デル・アックス(「水の」)と特定し、彼女の3人の娘(ランスロット、アーサー、ゴーウェインの母親と関連付けられる)は「湖の貴婦人」として知られるようになった、としている<ref>Mike Ashley, September 1, 2011, The Mammoth Book of King Arthur, Little, Brown Book Group, isbn:9781780333557, https://books.google.com/books?id=Y0yeBAAAQBAJ&pg=PT360</ref>。 | ||
クレティアン・ド・トロワの『荷車の騎士ランスロット』は、ランスロットを主要人物として描いた最初の物語として知られるが、湖で妖精に育てられるという彼の教育についても初めて触れている。ウルリヒ・フォン・ザツィホーフェンによるフランス・ドイツの『ランゼレット』にクレティアンの物語よりも原始的な要素が含まれているとすれば、幼いランスロットは海の貴婦人として知られる水の妖精(古期ドイツ語でmerfeine )によって湖に連れ去られ、彼女の乙女の国(Meide lant<ref>Ulrich von Zatzikhoven, 1845, Lanzelet: Eine Erzählung, Hahn, K.A., Frankfurt am Main, DE, Druck und Verlag von Heinrich Ludwig Brönner, p116, https://books.google.com/books?id=6bZbAAAAcAAJ&pg=PA116</ref>)で育てられるという<ref>Tatlock, J.S.P., 1943, Geoffrey of Monmouth's ''Vita Merlini'', Speculum, volume18, issue3, p265–287, doi:10.2307/2853704, jstor:2853704, s2cid:162813388 </ref> | クレティアン・ド・トロワの『荷車の騎士ランスロット』は、ランスロットを主要人物として描いた最初の物語として知られるが、湖で妖精に育てられるという彼の教育についても初めて触れている。ウルリヒ・フォン・ザツィホーフェンによるフランス・ドイツの『ランゼレット』にクレティアンの物語よりも原始的な要素が含まれているとすれば、幼いランスロットは海の貴婦人として知られる水の妖精(古期ドイツ語でmerfeine )によって湖に連れ去られ、彼女の乙女の国(Meide lant<ref>Ulrich von Zatzikhoven, 1845, Lanzelet: Eine Erzählung, Hahn, K.A., Frankfurt am Main, DE, Druck und Verlag von Heinrich Ludwig Brönner, p116, https://books.google.com/books?id=6bZbAAAAcAAJ&pg=PA116</ref>)で育てられるという<ref>Tatlock, J.S.P., 1943, Geoffrey of Monmouth's ''Vita Merlini'', Speculum, volume18, issue3, p265–287, doi:10.2307/2853704, jstor:2853704, s2cid:162813388 </ref>。『ランゼレット』の妖精の女王のキャラクターと彼女の楽園の島は、ジェフリー・ゴードンの作品に登場するアヴァロン島のモルガン( Morgan )を彷彿とさせる<ref>Loomis Roger S., 1945, Morgain la Fee and the Celtic goddesses, Speculum, volume20, issue2, p183–203, jstor:2854594, doi:10.2307/2854594, s2cid:161308783</ref> 。さらに、ランゼレットの妖精には息子がいますが、その名前であるマブズは、モルガンの初期のウェールズの相棒モドロンの息子であるマボンのアングロノルマン語形です<ref>Chris Barber, David Pykitt, January 15, 1997, Journey to Avalon: The final discovery of King Arthur, Weiser Books, isbn:9781578630240, https://books.google.com/books?id=zkcY3BalVb4C&pg=PA224</ref>。ロジャー・シャーマン・ルーミスによると、モルガンと湖の貴婦人は、伝説の中では元々は1人の登場人物だったことは「ほぼ確実」だ、とのことである<ref>https://books.google.com/books?id=MyWvBAAAQBAJ&pg=PT238, Celtic Myth and Arthurian Romance, Roger Sherman Loomis, 30 August 2005, Chicago Review Press, isbn:9781613732106</ref>関連する仮説では、初期のミルディンの伝統は、中世の物語で人気のあった妖精の恋人のモチーフと融合し、その役割は後にマーリンの2人の妖精の愛人に分かれ、1人は「善」、もう1人は「悪」になったと考えられる<ref name=ladies/>。 | ||
== キャラクターの変遷 == | |||
{| class="wikitable" | {| class="wikitable" | ||
|+ | |+ 象徴的なモチーフとその起源 | ||
|- | |- | ||
! Select element or episode !! | ! Select element or episode !! 初期の文献 | ||
|- | |- | ||
|A fairy lady has raised and magically aids [[Lancelot]]. | |A fairy lady has raised and magically aids [[Lancelot]]. | ||
| 213行目: | 204行目: | ||
[[Category:アーサー王伝説]] | [[Category:アーサー王伝説]] | ||
[[Category: | [[Category:吊された女神]] | ||