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ヤナギ
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== 神話等 == * メソポタミア神話:世界樹の一種である「フルップの木」は柳であろう、と言われている。イナンナ女神がこの木を自分の庭園に植えて育て、木から自らのベッドと玉座を作った。ギルガメシュ(あるいはシャマシュ)がこの木に宿る大蛇を倒した、とされる。 * 中国神話:[[相柳]]。中国神話の祟り神的龍女神。頭が9つある。共工の部下的存在。啓に倒される。 * 朝鮮神話:[[朱蒙]]の母の名を柳花夫人という。 * 日本神話:[[伊邪那岐命]]の語源はヤナグ(柳の古語)ではないか、と管理人は個人的に思う。 === 文化 === * 空海が中国を訪れていた時代には、長安では旅立つ人に柳の枝を折って手渡し送る習慣があった。この文化は、漢詩などにも広く詠まれ、王維の有名な送別詩「元二の安西に使するを送る」においても背景になっている。「客舎青青 柳色新たなり」の句について、勝部孝三は、「柳」と「留」(どちらも音はリウ)が通じることから、柳の枝を環にしたものを渡すことが、当時中国において、旅人への餞の慣習であったと解説している。「還」と「環」(どちらも音はホワン)が通じて、また帰ってくることを願う意味が込められているわけである<ref>勝部孝三『桃源詩話』国文社, 1987年11月25日初版, pp.21‐22</ref>。 * 歯磨き用の歯木として用いられた。多くの種が歯木として使用されたが、中国や日本では楊柳(カワヤナギ)の枝から作ったことから、楊枝(ようじ)と呼ばれた。そこから歯を掃除するための爪楊枝や、歯ブラシとしての房楊枝となった。 * 柳は解熱鎮痛薬として古くから用いられてきた歴史がある。シュメール時代の粘土板には疼痛の薬として記述され、エジプト人はヤナギの葉から作られたポーションを痛み止めとして使用した<ref>http://www.nobelprizes.com/nobel/medicine/aspirin.html|title=An aspirin a day keeps the doctor at bay: The world's first blockbuster drug is a hundred years old this week, ノーベル財団, 2021-11-19</ref>。日本でも「柳で作った楊枝を使うと歯がうずかない」と言われ沈痛作用について伝承されていた。19世紀には生理活性物質のサリシンが柳から分離され、より薬効が高いサリチル酸を得る方法が発見されている。その後アスピリンも合成された。現在では、サリシンは体内でサリチル酸に代謝される<ref>Biosynthesis and metabolism of β-d-salicin: A novel molecule that exerts biological function in humans and plants, Biotechnology Reports, volume4, 2014, pmid:28626665, doi:10.1016/j.btre.2014.08.005|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5466123/</ref>ことがわかっている。また、葉には多量のビタミンCが含まれている。 * 植栽木として、川や池の周りに植えられた実績があり、先人が考えた水害防止対策といえる。これは柳が湿潤を好み、強靭なしかもよく張った根を持つこと、また倒れて埋没しても再び発芽してくる逞しい生命力に注目したことによる。時代劇に出てくるお堀端の「しだれ柳」の楚々とした風情は、怪談ばなしに、つきものとなった。 * 古く奈良時代以前から'''奈伎良'''(ナギラ)とも呼ばれた。 * 柳の枝を生糸で編んで作った箱を柳筥(やないばこ)と言い神道では'''重要な神具'''である。柳筥に神鏡を納めたり、また柳筥に短冊を乗せたりもするもので、奈良時代から皇室や神社で使用され続けている<ref>神社本庁『神社有職故実』1951年7月15日発行全129頁中24頁</ref>。 * 花札では1月の絵柄として、「柳に小野道風」、「'''柳に燕'''<ref>これは本来は「初夏」のイメージの図である。</ref>」、「柳に短冊」、カス(鬼札)が描かれる。 === 柳女 === '''柳女'''(やなぎおんな)は、江戸時代の奇談集『絵本百物語』にあるヤナギの怪異。 画図ではヤナギの木の下に、子供を抱いた女の姿が描かれている。解説文によれば風の激しい日に、子供を抱いた女がヤナギの木の下を通ったところ、女の首にヤナギの枝が巻きついて死んでしまい、その女の一念がヤナギの木に留まり、夜な夜な現れ「口おしや、恨めしの柳や」と泣くという<ref name="多田編1997_42">多田編1997年、42頁。</ref><ref group="私注">これはヤナギと[[人身御供]]の関連が示唆される伝承であると思う。ヤナギを治水工事で使用していれば、それは治水に関する[[人身御供]]でもあったのかもしれない、と思う。ヤナギに対する人身御供は「吊すもの」と考えられていたかもしえない、と管理人は思う。</ref>。 『絵本百物語』以外にも、ヤナギと女にまつわる話として、宝暦時代の『祇園女御九重錦』や文政時代の『三十三間堂棟木由来』などの浄瑠璃に、ヤナギの精が人間の女性に化けて人と契る話があり、民間信仰にもヤナギにまつわる俗信は多い<ref name="多田編1997">多田編1997年、133-134頁。</ref>。『絵本百物語』本文においては、'''ヤナギが女に例えられる'''ことや、ヤナギが女に化ける話は、'''宋の士捷(ししょう)という者がヤナギに食われて死んだ'''ことが由来とされており、勇猛なイメージを持つマツに対して、ヤナギは優しい姿のために女の姿をとるのだという<ref name="多田編1997_42" />。 また、ヤナギそのものが霊の宿る木と考えられ、ヤナギの枝が風になびく様子が幽霊の手の動作と同じように見え、風に揺れるヤナギの古木の枝に頬を撫でられたり傘を取られたりすることがヤナギの精の仕業と恐れられたことを「柳女」の由来とする説もあり、同様にヤナギのイメージから生まれたと考えられている『絵本百物語』の妖怪に「[[柳婆]]」がある。また怪談や民間伝承において「柳女」と同じく死んだ女の霊が子供を抱いて現れる妖怪に「[[産女]]」がある<ref>岩井宏實, 暮しの中の妖怪たち, 2000, 河出書房新社, 河出文庫, isbn:978-4309473963, pages118-119</ref>。
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